先日、
静岡県発達障害者支援センターあいら 第15回地域療育講演会の
午前の部を聴いてきました。
テーマは「発達障害と社会とメディア」で、
「障害者の虐待と差別を防止するために」との資料を用いながら
お話されました。
過去にメディアで取り上げられた障がい者施設での虐待の話を前半にされ、
後半は精神障がい者の触法事件について、
自身が取材した実際の事件のことも交えながらの講演でした。
’98年TBSドラマ「聖者の行進」の基になった「水戸アカス」事件など、
思わず耳をふさぎたくなるような、ショッキングな虐待の様子も語られました。
どこでも虐待の芽はうまれる可能性があることを念頭におきつつ、
うまれた芽をエスカレートさせない職場環境づくりの大切さを強調されました。
そのためには、その場限りの力づくのやり方で施設利用者の問題行動をコントロールするのではなく、
利用者の特性を理解し、自尊感情を大切にしながら
その人に合ったアプローチを合理的・科学的な視点を持ちつつ探すことが重要とのこと。
さらには、利用者の意思決定を尊重し、その方が生活の楽しみを見つけ、
生活の質を高める支援を進めていけたらと話されました。
後半の精神障がい者の触法行為による事件については、
単なる厳罰では被害の再犯防止にはつながらないと断言されました。
防止のためには、各人の特性にあった支援を進め、
治療や教育による矯正を行い、最終的には地域社会の中で働きながら
その人の人生を楽しめるようにすることが良いとおっしゃいました。
実際の事例として、イギリスのダイバージョンプログラム
(触法精神障害者に対する、刑罰よりもケア優位のプログラム)を挙げられました。
また、障がいの有る方に充実した生活をしてもらうためには
まず保護者や支援者が生き生きとした暮らしをすることが大切と語りました。
聴講しての感想は、正直内容がヘビーで消化しきれないものが沢山あった講演会でしたが、
同時に、社会の中の課題は本当に山積みなのだとも、改めて考えさせられる内容でした。
ところで、講師の野澤氏は、ご自身にも29歳になる自閉症の息子さんがいらっしゃるとのこと。
息子さんが小さかった当時は、自閉症に関する情報もほとんどなく、
ようやく見つかった「治療できる」という自称超能力者にすがって、
パワーがこめられたカセットテープを毎晩聴かせていたと、ユーモラスに話されました。
このエピソードに会場からは何度か笑いがドッと起きていましたが、
私は笑えなかったなぁ・・・むしろ切なくて泣けるわ、って思っちゃった(^_^;)